アアルトのフラワーベース
『アールト(サヴォイ)』花瓶は、建築家でありデザイナーであったアルヴァー・アールトによる1936年の作品です。パリ万博の為のコンペティションに入選した作品で、以後MoMA(ニューヨーク近代美術館)の永久所蔵品にも認定されているので、この花瓶の名前は知らなくても、「見たことある」と、このデザインが記憶にある方は多いことでしょう。
この特徴のある有機的なフォルムはアールトの生まれ故郷、フィンランドのフィヨルドの海岸線に影響を受けたといわれます。デザインされた当時、その曲線はただもう革命的としか言いようのないものでした。その形は現代でもモダンですし、これからも時の流れに損なわれることはないでしょう。決して奇を衒ったものではなく、機能を持った美しいデザインであったからこそ、今も人々の生活の中に自然と溶け込むのでしょう。
アールトは「デザインは人間らしくあるべきだ」と信じ、家具のスチールパイプなど、人工素材を排除しています。というのはアールトにとってそれらは人間的な状態とは言えないものだからでした。イッタラ社のガラス製品が持つ純粋な輝きは、「森と湖の国」フィンランドの自然の中から生まれます。自然を愛し、自然と共に生きる。そんな北欧の精神は一切鉛を使わないレードフリーのクリルタルづくりにも生かされ、世界中の人々に愛されています。